氷屋が販売する氷屋純氷とは

様々な純水装置や活性炭を用いてろ過した、不純物をほぼ完全に取り除いた天然水や水道水を使用し、厳しい衛生管理の下、設備の整った製氷工場にて、48時間以上の時間を掛けゆっくりと結氷した、透明度の高い、硬く溶けにくい氷です。

氷屋純氷の特徴

透明度の高い、硬く溶けにくい氷屋純氷は、その作り方に大きな特徴があります。

多くの原料水は、水道水をベースに活性化濾過機、フィルター濾過機、純粋器等、様々な濾過機を用いてろ過し、水道水に含まれる、塩素(カルキ)やカルシウム、ナトリウム、カリウム、ミネラル等を出来るだけ取り除き、より水分子が結合しやすい状態に仕上げていきます。使用する濾過機や、ろ過する回数は、メーカーによって異なります。

そうして出来上がった原水を、おおよそ高さ1050mm×幅560mm×奥行260mmのアイス缶というステンレスもしくは、スチール製の容器に入れ、-8℃~-10℃に保った塩化カルシウム溶液で満たされたプールの中に浸け、48時間~72時間の時間をかけて凍らせ、純氷が作られます。

但し、ここで、ほぼすべての不純物を取り除いた原水を凍らせていくのですが、“水”を形成している以上、多くの酸素、空気を取り除いていかなければ、結晶密度の高い硬く溶けにくい氷はできません。

自動製氷機の氷は、ここから先の工程が簡易なため、結晶の密度が低く柔らかく溶けやすい氷となってしまいます。

さて、ここからが氷屋純氷の最も特徴的な工程となりますが、溶液によって冷やされたアイス缶は、外側から中心に向かって徐々に凍っていきます。そのまま凍らせてしまうと、不純物の少ない原水は、早い速度で凍ってしまい、最も取り除くことが難しい酸素、空気を多く含んだ、柔らかく結晶密度の低い氷が出来上がってしまいます。

そこで、アイス缶の中心部にエアパイプを入れて圧縮空気を送り、原料水を撹拌(かくはん)します。撹拌(かくはん)

これにより、原料水の中に残った空気などの不純物は空気中に放出させ、敢えて凍りにくい状態を作り、より時間をかけ結晶密度の高い、硬く溶けにくい、氷に仕上げていきます。

また、撹拌(かくはん)することによって、中心部には空気を多く含んだ原水が残ってしまいます。そのまま凍らせてしまうとその中心部は白く濁ってしまい、柔らかく溶けやすい氷となって残ってしまいます。この白く濁った部分をより少なくするために一度中心部に残った空気を多く含んだ水を吸い取り、新たに原水を入れ替えていきます。吸い取り。

この工程を繰り返し行い、結晶密度の高い硬く溶けにくい透明な氷屋純氷が出来上がっていきます。

氷が出来たら、塩化カルシウム溶液のプールからアイス缶を抜き出し、1~2時間室温でなじませ、氷を抜きやすくするために、15℃の水の入ったプールにアイス缶を沈めて周囲を融かします。

アイス缶をプールから引き上げ、氷を抜き出す際注意が必要です。氷は温度差に非常に弱いので、急激な温度変化があるとすぐにひび(クラック)が入ってしまいます。そのため一度常温の水に浸してあげてから慎重に氷を取り出していきます。

アイス缶から抜き出された純氷は形を整えて、貯氷庫で1日寝かせて締めます。貯氷庫の温度は-10℃前後。その後冷凍車で、約135㎏の氷柱の状態で、我々氷屋に送られる。氷屋でも1日寝かし氷を一度締めてから加工する。氷屋では、加工後‐20℃の貯氷庫に移して1日以上氷を締めてから出荷される。このように時間、手間をかけて『純氷』が完成します。こうしてできた純氷は、一般の氷に比べて透明で硬い、無味無臭の融けにくい氷となるのです。その違いは、ウイスキー、アイスコーヒーなどの飲み物、カキ氷に使用した場合によくわかります。

氷屋純氷と製氷機の氷との違い

制作工程の構造上、一般的な製氷機の氷は、中心部にへこみ、穴が生じてしまいます。これは特徴の項でも述べたように構造上、吸い取りの工程が簡易なため生じてしまう結果となります。

氷屋純氷の氷も自動製氷機の氷も作り方自体は同じ原理です。

しかし、原水を作るろ過装置の違い(自動製氷機に内蔵されている濾過機は簡易なものが多い)や、冷却温度自体の違い(自動製氷機は-25℃にて冷却し、結晶速度が速く短い。氷屋純氷3mm/時、自動製氷機50mm/時)があり、攪拌や吸い取りの工程が簡易なため、一見同じように見える氷でも、その結晶の密度は大きく違い、硬さ、透明度、溶けにくさが違ってきます。

最も分かりやすくその違いを確かめたいのであれば、グラスに触れる音を確認してみて下さい。結晶密度の高い氷屋純氷の音は高く、自動製氷機の

それは、低く鈍いです。

また、大きさ、サイズ感も比べて頂けると分かりやすいかもしれません。

縦、横、高さの3方向に一定の長さ(約4.5㎝以上)があるのは、アイス缶で製氷した氷のみとなります。

氷屋純氷がプロの料理人に選ばれる理由

氷屋純氷の氷は、2,3の項でも記したようにアイス缶製氷により、時間を掛けて作った氷であります。

自動製氷機やターボアイス等の氷とは結晶の密度が異なり、その硬さ、透明度、切り出していくサイズも大きく違ってきます。

自動製氷機やターボアイスで出来た氷は、キューブ形状等の一定の形に形成する事は出来ますが、素材自体が柔らかいため、アイスピック等での細かい加工は出来にくく、グラスに合わせての加工等は、ほぼ不可能です。

また、ある程度形成するサイズが決まっているため、それ以上に大きいものへの加工も不可能です。

大きいサイズのものから小さいサイズへの加工は可能ですが、その逆は、難しいです。

バーテンダーさんが、グラスに合わせて氷をカットする、板前さんの希望で、保冷目的のネタケースに合わせて氷をカットする、こういった仕様の氷は氷屋純氷の氷にしか出来ないところです。

見た目の透明感、溶けにくさ、音、使用頂くお店が提供する商品付加価値を下げてしまうことは、まずあり得ません。

こうした理由により、氷屋純氷はプロの料理人の方に選ばれております。

氷屋純氷の使用用途

飲食用

お酒(主に洋酒)、清涼飲料水を中心に冷やして飲む飲み物には、お勧めできます。無味無臭のため、本来ある飲料水の味そのものを損ないません。見た目、味、音、一杯の付加価値を僅かかもしれませんが、確実に上げる事が出来ます。

 

保冷用

結晶の密度の高い氷屋純氷は、溶けにくく、その保冷力は長く保てます。

 

氷彫刻

氷屋純氷ならではの大きな氷、その迫力、美しい透明な氷の輝き、丁寧で確かな彫刻の技術、氷彫刻には、ご覧になる皆様を感動させる魅力で一杯です。 パーティーやイベントなどで、氷彫刻はいかがでしょうか。

氷屋純氷の種類

かちわり氷

砕氷機、もしくは、アイスピック等により手でランダムに割った氷屋純氷の中で最も販売数の多い商品です。

砕氷機で割ったものは、ふるいに掛けサイズを整え、商品化しております。

手で割ったものは、粒の大きさ、形、等の調整がある程度可能なため、コンビニ、量販店では見られない氷屋純氷ならではのオリジナル商品となります。ゴロっとした質感のかちわり氷は氷屋純氷でしか味わえません。

角氷

アイス缶製氷により作られた氷屋純氷の角氷は、縦、横、高さで最大約26cm×54㎝×108㎝の範囲でどのサイズにでもカットできます。

一般的には、縦、横、高さで約12cm×13cm×27cm、3.75kgを1つのブロックの単位として扱います。

キューブアイス

約3~3.5㎝四方にカットしたサイコロ形状の氷です。

グラスに数個入れるという数が分かりやすく、パーティー等大人数での使用の場合、その歩留りが計算しやすいです。4kg、1袋で、約120粒となります。

クラッシュアイス

最大サイズで親指の爪程度のランダムに形成された細かい形状の氷です。

小さく細かい粒でも、氷屋純氷の素材なので、硬く溶けにくいです。アイスディスペンサーの氷と比較して頂けるとその違いが分かりやすいかと思います。

アイスボール

55,60,65,70㎜の球状の氷です。主にロックグラスでの使用が使いやすいです。アイス缶製氷で出来た氷屋純氷の中でも芯の部分を外した、最もプレミアムに形成した氷となります。

まとめ

 

アイス缶製氷にて48時間以上の時間を掛けて作り出した氷屋純氷は、硬く溶けにくく透明度が高い氷です。無味無臭のため冷却するものの味を損なわず、見た目にもきれいです。

水を凍らせて氷を作る、という製法自体は昔ながらの単純な作り方ですが、攪拌や吸い取りといった人の手を要さないと硬く透明な氷は出来ません。

自動製氷機、ターボアイス、アイスディスペンサー等、コストパフォーマンスに優れた氷は多々あります。

ただ、一杯の価値を上げてくれるのは、私共の扱う氷屋純氷しかありません。この機会に是非、お試し頂けたら幸いです。